このような疑問にお答えします。
本記事の内容
しかし、空手未経験者は「空手ルールってイマイチわからない」という方がほとんどです。
この記事では空手のルールブックに記載されている「形」の評価の方法と、組手のルールを初心者でもわかりやすく解説します。
空手の形のルール(評価基準)
空手の形を見たことがない方向けに、小学生の全国大会の試合の動画を貼っておきます。
なお、この動画は最近、空手少女として有名な「高野万優(まひろ)」さんの試合です。
全国大会6連覇の時の映像がありましたのでどうぞ。
ちなみに、この動画の青の酒井選手も相当レベルが高いです。
どっちが勝ってもおかしくはない程、力が拮抗していました。
それでは、空手の形の試合のルールを簡単に説明し、次にどのように形を採点しているのかを解説します。
空手の形の試合のルール
空手の形のルールは2種類あります。
・点数制
フラッグ制とは
選手は赤と青に別れてトーナメント方式で戦います。
両選手の演武終了後、5人の審判によってより上手だった選手に旗を挙げ、3本以上旗を獲得した選手が勝利となります。
試合によっては7人の審判で行う場合があります。
点数制とは
選手は複数のブロックに別れます。
そのブロックの中で順に演武していき、審判は点数をつけていきます。
その後、ブロック内での上位者が次のラウンドへ進み、選手は別の形を演武して点数を競います。
最終的に上位2名が決勝戦を行い、優勝者を決めます。
選手は一回ごとに別の形を演武しなくてはならない
ある程度大きな試合になると、選手は1回戦ごとに異なる形を選択し演武しなくてはなりません。
1つの形のみ重点的に練習すれば良いという訳ではないのが難しいポイントです。
なお、形の種類一覧については「空手の形(型)一覧(形の種類)」にまとめてあります。
空手の形の評価方法【どのように採点しているの?】
空手の形を採点する際、大きく2つの項目を見ています。
・競技面(スピードや力強さなど、効果的な技が出せているか)
空手(国内)の試合は公益財団法人 全日本空手道連盟 空手競技規定に基づき実施されます。
その競技規定による評価基準は技術面と競技面の大きく2つがあります。
なお、点数の付け方は技術面が7割、競技面が3割です。
技術面、競技面はさらに細かく細分化されます。
空手の形の評価基準:技術面
技術面の項目は7つあります。
①:立ち方
②:技
③:流れるような動き
④:同時性
⑤:正確な呼吸法
⑥:極め
⑦:一致性(流派の形の基本に一貫性があるか)
では、それぞれ解説します。
技術面①:立ち方
空手の立ち方は全て決まっています。
その立ち方が正しくできているかを評価されます。
空手の立ち方が決まっている理由について、わかりやすい例があります。
人間の体を支える2本の足も、トランプタワーと同じく重要なのです。
立ち方ひとつで効果的に技が出せるようになるのです。
ちなみに形の選手は立ち方を「ミリ単位」で修正しながら練習をします。
また、立ち方には「足の置く位置」だけでなく、「重心(腰の低さや、体重のかかり方)」も含まれます。
立ち方がイマイチだと、全てがマイナスになる程重要です。
なお、空手の立ち方について詳しく知りたいという方は「空手の立ち方の種類【立ち方は超重要です】」をご覧ください。
技術面②:技
空手には多種多様な技があります。
技を正しく理解して、正確にできているかが評価されます。
また、これを「技の理解度」ということもあります。
形はダンスや体操ではありません。
動き一つ一つに意味があります。
ただ、空手の流派で教えられる、わずかな変化は許されることとなっています。
技術面:流れるような動き
これは「緩急」や「リズム」といわれることがあります。
形は複数の技が組み合わさり、一連の動きとなっています。
相手を想定した際に、動きがひとつひとつ止まってしまってはその間に攻撃を受けてしまうことでしょう。
そのため、形の意味を理解しながら、流れるように動く必要があります。
流れるような動きとは、早く次々と動けば良い訳ではありません。
なぜなら、相手も次々と攻撃を仕掛けては来ないためです。
そのため、形の流れには「緩急」が求められます。
技術面③:同時性
同時性は以下の点が評価されています。
・気合いや呼吸(息吹)が技と同時にされているか
「同時性が評価される」を言い換えると「バラバラな動きは減点される」とあらわすことができます。
技が足と手、呼吸などがバラバラにならないように注意する必要があります。
なお、技によっては、重心が決まってから技を決めるものがあります。
こういう技は、腰の回転や引き手などの同時性が見られています。
技術面④:正確な呼吸法
呼吸の方法によって、運動に与える影響は大きいです。
空手においても、正しい呼吸はより効果的に技を出すためには必要なのです。
そして、空手の難しいところが「技によってその呼吸が異なる」点です。
また、大きな呼吸音は減点の対象となっているので注意が必要です。
なお、呼吸(呼吸法)のことを空手では息吹ということが多いです。
技術面⑤:極め(きめ)
「極め」=「正確な技のコントロール」です。
組手においては、動く相手を的確に捕らえる必要があります。
つまり、形でも技のコントロールが必要とされており、それが「極め」です。
つまり、技がブレてしまうのマイナスの評価がされます。
技術面⑥:一致性(流派の形の基本に一貫性があるか)
空手の複雑なところが「流派」です。
流派ごとに立ち方や突き、蹴り、受けの基本が異なります。
その流派ごとに定められた基本に沿って演舞がされているかが評価の基準となります。
空手の形の評価基準:競技面
競技面の項目は3つあります。
①:力強さ
②:スピード
③:バランス
競技面①:力強さ
どれだけスピードが早くても、力強さがなければ威力は少ないです。
猫は素早さはあるものの、力強さはないのです。
仮にそれが、熊のパンチだったら相当なダメージを受けることでしょう。
空手界では力強さを「パワー」と呼ぶことが多いです。
競技面②:スピード
求められるスピードは3つあります。
・相手の攻撃を受ける時のスピード
・身体を回転させたりする時のスピード
力強さだけあっても、スピードがなければ攻撃を避けられてしまいます。
また、攻撃を受けるときもノロノロしていてはやられてしまうため、素早く動く必要があります。
さらに、スピードは突きや蹴りの速さだけでなく、身体の回転などのスピードも加点の対象です。
競技面③:バランス
空手の形はバランスを少し崩しただけでも負けます。
そのぐらいバランスの重要度は高いです。
なお、バランスが崩れるとは以下のことを言います。
・技を極めた後に重心がずれた。
空手は、難しい動きに加えて、競技面の力強さやスピードが求められます。
そうすると、必然的にバランスを取るのが難しくなります。
選手はいとも簡単にやっているように見えますが、そこにはバランスを崩したら負けるという恐怖と戦っているのです。
空手の形を観戦するときのポイント
空手の形のルールを簡単にいうと「正しい技を正しく行い、さらにスピードや力強さがあるかが重要」です。
力強さを求めすぎて無駄な動きが出てしまったり、反対に正しい動きをすることに気を取られてスピードがおろそかになってはダメだということです。
しかし、空手未経験者は、細かい評価についてはちょっと難しいですよね。
そういった方は、テレビなどで空手の形を見るときは「力強さ」「スピード」「バランス」の競技面を見れば十分楽しめることでしょう。
また。「なんとなく凄い」という風に芸術を観る感覚でもOKです。
空手の組手のルール
まず、空手の組手は1対1形式で実際に技を掛け合う競技です。
突き、蹴り、投げなど多種多様な技があり、技によって得点数(ポイント数)も異なります。
この記事では空手のルールブックに従い、組手のルールが初心者でもわかるように解説します。
空手の組手の大まかなルール
組手は先に8ポイント差をつけた方が勝ちとなります。
大まかなルールは次のとおり。
・違反行為を繰り返すと負け
・試合時間が終了した場合、得点を多く獲得していた方が勝ち
・試合時間が終了した際、同点だった場合には一番最初の得点を獲得(先取という)していた方が勝ち
・組手の競技時間は大人は3分、それ以下は2分(試合によって異なる場合もある)
攻撃可能な身体の部位は大きく2ヶ所
中段:中段:腹部、胸部、背部、わき腹(腰から上)
ロー(下段)への攻撃は試合では禁止されています。
では、どういった技が得点になるのかなど解説していきます。
空手の組手の得点
組手の得点は「1本」、「技あり」、「有効」の3つがあります。
技あり: 2ポイント
有効:1ポイント
難易度が高く、より効果的な一撃とされている技が1本(3ポイント)、通常攻撃が有効(1ポイント)、その間とされる攻撃が技あり(2ポイント)です。
また、技は正確にコントロールされている必要があり、スキンタッチまたは5cm以内の距離で、力とスピードがしっかりとある効果的な技でポイントになります。
1本:3ポイント
・投げた(完全に倒した)相手に突きまたは蹴り
1本技は非常に難易度が高く、試合で決まると盛り上がりを見せます。
一発逆転も可能になる技であり、魅力が詰まった技です。
技あり:2ポイント
技ありとなる技は中段への蹴り技のみです。
蹴り技は難易度が高いので、決まれば少なくとも2ポイントは獲得できるということです。
有効:1ポイント
・中段への突き技
相手を倒さないでの突き技は全て1ポイントです。
うち技というのは、拳の裏側を使った技(裏拳)などをさします。
組手のポイントを簡単にまとめると次のとおり
・お腹への蹴りは2ポイント
・相手を完全に倒して突く、または蹴れば3ポイント
・顔への蹴りは3ポイント
組手の禁止行為
空手は格闘技でもあり武道、そしてスポーツでもあります。
相手を故意に負傷させるような危険行為、スポーツマンらしくない行為は禁止とされています。
空手の禁止行為
・カテゴリー2(C1)
禁止行為(反則行為)はカテゴリー1とカテゴリー2に分類されます。
カテゴリー1もしくはカテゴリー2のどちらかが1試合で4回発生した選手は反則負けとなります。
例えば、カテゴリー1が3つ、カテゴリー2が1つになっても反則負けではありません。
あくまで一方のカテゴリーが4つ溜まった時に反則負けになります。
なお、カテゴリー1=C1と略し、同様にカテゴリー2をC2と略します。
では、それぞれの禁止行為について詳しく解説します。
禁止行為:カテゴリー1(C1)
主に相手に負傷を負わせるような技はカテゴリー1に分類されます。
例をあげると次のとおり。
・腕や脚など、認められない箇所への攻撃
・危険な投げ技
最も良くあるのが顔への攻撃の当てすぎです。
素早い動きの中で繰り出す攻撃を完全にコントロールするのは難しく、強く当たってしまうこともしばしばです。
また、試合中に気持ちを抑えられなくなり、稀にですが故意に技を当てる選手もゼロではありまん(故意な危険技はカテゴリー2に属します)。
その場合は一発で反則負け、または失格(次の試合を含む全ての競技への出場権を失う)を科せられることもあります。
禁止行為:カテゴリー2(C2)
コートからの場外(相手に押された場合などは場外に見なされない)と、ずるい行動や挑発行動などスポーツマンらしくない行動が主にカテゴリー2です。
いくつか例を挙げます。
・相手を掴む行為
・逃げる行為
・攻撃を全く受けるつもりのない行動
相手の攻撃が強く当たった場合は、相手にペナルティ(C1)が科せられます。
その性質から大げさに痛がるそぶり(誇張)を見せることは禁止行為とされており、C2が与えられます。
サッカーの試合で大げさに痛がるのを想像してもらえればわかりやすいかと思います。
あの誇張した素振りはカテゴリー2の禁止行為にあたります。
また、格闘を避ける行為も禁止です。
得点を多く取っているから逃げ回ってはダメということです。
時間終了間際に得点を多く獲得している選手は、いかに違反を課せられずに防ぎきるかが勝敗の鍵を握ります。
また、相手を掴み続けたり、両手で相手をつかむことも禁止されています(相手の蹴り足を掴み倒す場合を除く)。
空手の組手を観戦するときのポイント
組手は先に攻撃を仕掛けたとしても、その攻撃が読まれてしまっては相手にカウンター(反撃)をされてしまします。
選手はほんの一瞬の間で物凄い数の駆け引きを行なっています。
しかし、外から観戦していると、その駆け引きは伝わりにくいです。
そして、一流選手は単純にスピードが速いだけではなく、相手に見破られないように魔法の様な技を出しています。
残念ながらこれらは実際に体感してみないとわかりにくい点です。
そのため、空手を見る際は以下のようなポイントを観戦すると楽しめます。
・安易に技を出しては、カウンターをもらってしまう。
・反対に一瞬の反応でカウンターを繰り出す凄さ。
・1本(3ポイント)や技あり(2ポイント)という大技の華麗さ
これらを踏まえて、ぜひ空手観戦を楽しんでください。